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グレイトシナゴーグの発掘
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使用機器:pulseEKKOシステム |
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60年前に破壊されたヴィルナ(リトアニアの都市)にある偉大なシナゴーグとShulhoyfを、世界各国の科学者チームがpulaseEKKOを使用して、その貴重な歴史を解明しようとしています。
ヴィルナ(ヴィルニアス)は1500年代中ごろ、文化的、科学的な中継都市として重要な役割を担っていたと認識されている都市です。
17世紀の終わりまで、ヴィルニアスは信仰の異なる数多くの教会が林立する、ヨーロッパでも他に類をみない貴重な都市でした。
そのひとつがヴィルナのグレイトシナゴーグです。
長い期間をかけてグレイトシナゴーグの周辺には他の建物が立ち並び、やがて12の教会と共用施設が複雑に立ち並ぶShulhoyfのような迷宮を構成するに至りました。
第二次大戦でヨーロッパが壊滅したように、グレイトシナゴーグも金品を略奪され焼かれ、廃墟のまま放置され、かつての栄光を失いました。
1957年、ソビエト連邦、そしてリトアニアの管理下、並木道の確保のため構造物は解体され、数年後にはそこに小学校が建てられました。研究者たちは、グレイトシナゴーグが倒壊した構造のほとんどが敷地内に残された状態で自壊していると考えていました。
2015年、イスラエルの考古学博士ジョン・セリグマン率いる各国の科学者チームは、ヴィルナのグレイトシナゴーグを調査、発掘し、その遺構を保存する任務を委託されました。
いくつかの予備発掘調査の後、地中レーダを調査に使用することになりました。
地中レーダは非破壊で調査エリアをスキャンして、建物の中で無傷で残っている可能性が高い箇所をより経済的に特定できる方法です。
ウィスコンシンーオークレア大学地球物理学・人類学教授ハリー・ジョル博士が、その豊富な経験から、地中レーダ探査のリーダーを務められました。
図1 かつてのグレイトシナゴーグ建設地・現小学校校庭での
pulseEKKOシステムを用いた探査
第1回目の調査は2015年夏にpulseEKKO地中レーダシステムを使用して行われました。(図1)
測線間隔0.25mで6グリッド、合計1,600平方メートルが調査されました。(図2)
225MHzアンテナを使用し地下深度3m以上までを調査した結果、素晴らしい断面イメージが得られ(図3)、無傷で残る複雑な遺構の位置を確認することができました。
図2 現小学校およびグレイトシナゴーグのアウトラインとグリッドとの重ね合わせ
図3 地下の遺構を示す断面イメージ
考古学に関するGPRデータで、深度スライスイメージ上に明瞭な円、四角形、線などがある場合は、それらが人工的なものであるという強いサインになります。
また同時に断面イメージを確認することも重要です。なぜなら遺構の床や壁といったものの特徴がより鮮明に現れるからです。
(図4)
図4 遺構の壁と床と思われる部分の断面イメージ
図5 GPR探査の結果、遺構の存在が確実なエリアは2016年発掘が行われ多くの部屋が発掘された。
2016年、pulseEKKO地中レーダ探査結果に基づいて発掘が行われました。この発掘で、GPR探査の正確性が認められました。
表土を撤去すると、すぐにいくつもの部屋の壁の上部が見え始めました。詳しい解析の結果、これらの壁はシナゴーグの中でも複雑な作りの浴室のものと断定されました。(図5)
この探査の成功をうけて、2016年夏、さらに2グリッドの探査が行われました。2017年の夏には発掘も予定されています。
pulseEKKO地中レーダシステムは、深い深度まで探査が可能であり、また遺跡、空洞、墓あるいは埋没した古代の道路などの可視化に優れているため、考古学の専門家の方々に好まれています。
ヴィルナのグレイトシナゴーグでは、建物は崩壊してしまいましたが、消失してしまったわけではなく、ヴィルニアスの貴重な文化遺産として存在し続けるのです。
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